1. 2002年4月からのペイオフ導入まで1年を切る中で、大学や財団といった大口資金運用を行うわが国の非営利団体の間で資産運用を見直す動きが活発化している。
2. わが国非営利団体は日銀統計ベースで53兆円程度と厚生年金基金にほぼ匹敵する資産規模を有するが、資産構成は預貯金が中心となっている。
3. 一方、米国では大学・財団は年金基金と並び「機関投資家」として認識されている。運用資産構成も米国株式が5割程度と株式中心の姿であり、年金基金に似ている。大学・財団が株式中心の中長期運用を行う背景には、「資産運用が大学・財団本体の運営を永きにわたり支える」という位置づけが明確になされていることがある。
4. 一定の前提を置きつつ、わが国の非営利団体が10年後に米国並みの機関投資家運用を実現するものと想定すると、2010年度末の資産残高は約84兆円に達し、株式市場に10年間で計53兆円程度の純資金流入が生じるものと推定される。
5. 現在、公益法人協会が財団の株式投資規制緩和を求める提言を行うなど資産運用を巡る環境変化が生じている。これがわが国非営利団体の機関投資家化に向けての本格的な動きをもたらすかどうか今後の動向が注目される。
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