1. 富裕層ビジネス強化の一環として、ファミリー・オフィス・サービスの提供を始める欧州の金融機関が増加している。ファミリー・オフィスとは、米国の超富裕ファミリーが、自らの家族のために雇うアセット・マネージャーや弁護士、会計士、税理士などで構成される専属のチームである。
2. これまでの伝統的プライベート・バンキングでは、原則1人のプライベート・バンカーが、アカウント・マネージャーとして顧客とコンタクトを取り、個別のサービス・ニーズが発生する度に専門家を呼んで対応してきた。これに対し、ファミリー・オフィス・サービスでは、専属チームが担当するファミリーに張り付き、資産の保全及び運用、子息が受ける学校教育のアレンジ、購入する美術品や骨董品の品定めなど、ありとあらゆるサービスを提供する。プライベート・バンクは、一般的な富裕層と超富裕層への提供サービス差別化の一つとして、ファミリー・オフィス・サービスを位置づけている。
3. 富裕ファミリーが、特定の金融機関の立場に偏らない、独立したアドバイスを求めているとの判断から、金融機関の中には、独立性、中立性をアピールするため、ファミリー・オフィス・サービスを従来のプライベート・バンキングとは別の組織としたり、外部の人材を積極的に登用したりするところも少なくない。
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