1. 2000年の米国商業銀行業界は、米国経済の減速を反映して、9年ぶりの減益決算となった。FDIC発表によれば、加盟8,315行の純利益は前年比0.7%減の711.8億ドルとなった。
2. 減益の主要因は非金利収入の伸び率の鈍化と不良債権処理コストの拡大である。しかし、業界全体のROAは1.19%(0.12ポイント減)、ROEも14.07%(1.27ポイント減)へと低下したが、収益性水準、資本力水準そのものは依然高い状態にある。
3. 大手25行の状況をみると、バンク・ワン(前年比114.6%減)、ファースト・ユニオン(同97.1%減)が不良債権処理やリストラクチュアリング費用の増加によって、JPモルガン・チェース(同23.6%減)がプラベート・エクイティ業務における損失計上によって減益幅が大きかったが、業績の悪化は一部銀行に限られている。
4. もっとも、大手銀行のなかには業績を伸ばし続けているところもある。フィフスサード、M&T、BB&Tといった銀行は金融再編を梃子にして成長を続けており、年後半には市場からの評価も高まっている様子がうかがえる
5. 2001年第1四半期では、景気後退局面における米銀の貸出姿勢がより厳格化し、金融当局は景気後退局面における銀行行動に注意を払うようになっている。今年4回目となる4月の利下げを受けて、米銀の貸出姿勢の積極化が期待される。
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