1. 2000年度の米国主要投資銀行の決算をみると、通年ではほぼすべての業務で1999年を上回る好業績を記録した。しかし、第3〜第4四半期には、業績の横ばいもしくは下降傾向が鮮明となってきた。
2. 投資銀行業務収入は、ハイイールド債発行や株式IPOが減少するにつれ伸び悩んでいる。株式債券引受ではソロモン・スミス・バーニー、JPモルガン・チェースの台頭がみられる。M&Aアドバイザリー業務では、大型案件・欧州に強いゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーが強さを発揮した。2001年には、最近2年ほど活発なM&A取引はみられないのではないかという見方が多く、影響の大きい米欧の通信・ハイテク産業の動向が注目される。
3. トレーディング収入では、プライベートエクイティ投資を積極的に行っているゴールドマンやJPモルガン・チェースが評価損を計上するなど、不安定さが顕在化した。ナスダックのマーケットメイカーを買収する動きが相次いだことも注目される。
4. アセットマネジメント業務は、株価の乱高下を反映してフルサービス口座や投信商品に資金を戻した投資家も多く、比較的好調に推移した。
5. 投資銀行業界の関心は、業界再編からコスト削減や効率化、大型合併後の融合などへ移りはじめた。メリル・リンチは、すでに人員削減やノンコア事業の売却などへ動き出している。
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