1. 欧州最大の保険会社、アリアンツが、国内第3位のドレスナー銀行を買収することを発表した。買収金額は約230億ユーロである。買収によって成立する「アリアンツ・ドレスナー」は、時価総額でドイツ最大の金融機関となるだけでなく、ドイツ・テレコムを抜き、ドイツ最大の上場企業となる。
2. アリアンツは、生命保険業務、損害保険業務、資産運用業務を3本柱としているが、損害保険業務で収益の3分の2を上げており、生命保険業務や資産運用業務の強化が課題とされてきた。中でも、資産運用業務は、アリアンツが最も遅れて進出した分野である。相次ぐ米国の有力投資顧問会社の買収により、機関投資家向け資産運用業務でのシェアは拡大したものの、国内の投信業務では、ほとんど存在感がなかった。
3. 今回の買収の目的は、(1)資産運用業務の強化と、(2)リテール販売チャネルの拡充である。ドイツでは、家計による証券投資が急速に普及している。また、公的年金改革により、私的年金や変額保険のような貯蓄性の高い保険商品のニーズが今後高まることが予想される。アリアンツが今後の成長市場と見込むこの分野で、成功を収めることができるか、注目される。
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