1. 2002年4月からのペイオフ導入を契機に、わが国の自治体の間で公金運用のあり方を検討する動きが相次いでいる。
2. 日米の自治体のバランスシートを比較すると、日本において現預金が大半を占めるのに対し、米国では国債・政府機関債など有価証券を中心に分散投資を行っている。米国でも1970年代は預貯金の比率が4割を超えていたが、その後金融機関の破綻が相次いだことなどが原因で有価証券の比率が高まった。
3. 米国の自治体は資金をその性質に応じてプールし短・中期の運用を行っている。90年代半ばに高リスク投資に手を出した一部の自治体が巨額の損失を計上したのを契機に投資方針の策定が一般的となった。方針には(1)安全性、(2)流動性、(3)収益性の確保という「原理・原則」や運用管理体制、受託者責任などが盛り込まれている。
4. カリフォルニア州の州財務局では、自己資金と傘下の自治体の公金をプールし規模の利益を追求している。州内の市では扱う資金規模が小さいものの、州とほぼ同様の運用管理体制が要求されている。
5. ペイオフの導入により、預貯金も金融機関の信用リスクを認識する必要が生じる。今後、わが国の自治体において「預貯金中心の運用」から「有価証券を含めた形でのリスクとリターンを踏まえた運用」への移行が期待される。
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