1. 米国投信業界では、2000年末、資産残高は6兆9,670億ドルに達した。前年末比で1.8%の微増であったが、2000年6月末時点からは2.1%の減少だった。主因は株式市場の低迷の中での株式投信の不調だった。ただ、株式投信が月間で資金流出を記録した月はなく、年初に比べて少ないながらも資金流入が続いた。対照的に、MMFへの資金流入は年後半に向けて増加し、株式投信からMMFへのシフトが見られた。
2. 2000年末の投信運用会社のランキングでは同年6月末と比較して資産残高の減少を記録した会社が16社にのぼった。同様に、個別投信のランキングでは、上位20本中18本が半年間で資産残高の減少を記録した。そのような中でバリュー・ファンドのリターンの回復傾向が鮮明になっており、今後の牽引役となるかが期待された。
3. 2000年下半期は、急速な市場環境の変化などを背景に、投資家の投信保有に伴う税負担に対する関心が高まった。投信の商品としては「タックス・マネージド・ファンド」と呼ばれる比較的新種のファンドへの注目が高まった。また、制度の議論でも、証券取引委員会(SEC)による税引後リターン開示規則の採択、連邦議会での投信税制改正の法案提出といった動きが見られた。
4. 投信直販会社を中心に注目されたのが2000年10月の「電子署名法」の施行に伴う口座開設の完全オンライン化だった。口座開設にかかる時間の短縮化、オンライン・ファイナンシャル・アドバイスと事務手続きの統合などのメリットが期待された。
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