1. 米国では、最近、証券アナリストが投資銀行部門やトレーディング部門の圧力を受けて、あるいは、自己の報酬が連動している投資銀行部門の業績を上げるために案件の獲得手段として、企業に好意的な投資判断を行っている可能性が問題視されている。
2. 全米証券業者協会(SIA)は、2001年6月12日、アナリストの中立性を確保するためのガイドライン「調査のベスト・プラクティス」を発表した。13項目から成るガイドラインの内容は、a)調査の客観性を確保するための社内体制、b)レポートの内容、およびc)利益相反の回避、に関する提案となっている。
3. 米国下院の小委員会は、アナリストに関する公聴会を開催した後、SIAのガイドラインの有効性を検討するレビュー委員会を設置し、アナリストの中立性を確保するための方策を審議する予定である。また、全米証券業協会(NASD)は、アナリスト等に対する情報開示規則(NASD規則2210)を強化する改正案を発表している。
4. 国際的にも、証券監督者国際機構(IOSCO)が証券アナリストのあり方に関するタスクフォースを設置し、日本の金融庁が議長となった。但し、わが国では、多くの場合、アナリストによる担当企業株式の売買は社内規則で禁止されているなど、米国で注目されている問題が当てはまらない点もあることに留意すべきである。
|