1. 米国では、有価証券決済のT+1化(約定日翌日決済化)に向けた準備が着々と進みつつある。これまでSIA(米国証券業者協会)は、T+1化に向けた課題を数多くの小委員会で議論し、成果を白書などの形で発表してきた。
2. 2001年5月17日、SIAはT+1化のマイルストーンと名付けた三点の資料を公表し、次いで、2001年6月6日にプロジェクト計画表一点を公表した。四点の資料には、計186もの具体的なプロジェクトが完了予定日付きでまとめられている。これは、全市場参加者に今から積極的にT+1化へ取り組むことを促すものとして注目される。
3. 今のところ多くのプロジェクトはスケジュール通りに進行しているが、(1)新規発行証券の決済期間、(2)券面の不動化・無券面化、(3)資金決済など、予定通り完了することが困難とみられる項目もある。引き続き議論が求められる課題も残されている。
4. 2004年6月というT+1への移行目標を掲げる米国でも、幅広い検討課題や作業スケジュールが現時点である程度整理され、SIA外のプロジェクトも含めて一覧し易い形で情報開示されている。我が国においても、T+1決済を早期に実現するためには、こうした論点整理を行うことが求められよう。
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