1. 英国ブラウン大蔵大臣の諮問を受けて、機関投資家の運用に関する課題を調査していたマイナーズ氏が、2001年3月、最終報告書を提出した。本調査は、2000年5月より、コンサルテーション・ペーパーに対する回答を集め、また、年金基金のトラスティーやファンド・マネージャーなどに対するアンケート調査などを行った上でまとめられたものである。
2. 蔵相のもともとの問題意識は、機関投資家によるベンチャー投資が米国ほど活発でないことが、英国内の起業を妨げているというものであった。しかし、今回の調査では、ベンチャー投資に留まらず、機関投資家の運用について様々な角度から問題点を検討し、最終報告書は200ページに及ぶ大部なものとなった。
3. 報告書の内容は、年金基金運用に関連するものがほとんどである。生命保険や投資信託、プライベート・エクイティ投資については、それぞれ1章を割くに留まった。
4. 年金基金の運用については、(1)トラスティーのコミットメントの強化、(2)運用スタイルの決定方法の見直し、(3)ファンド・マネージャーが支払う売買手数料の取扱いの見直し、(4)MFRの撤廃、などを挙げている。
5. この報告書が提言した見直しの一部は既に実行に移されているが、全内容の実現には時間がかかろう。この報告書を受けてどのような変化が見られるか、注目される。
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