1. CMBS(商業用モーゲージ証券)が、わが国においても1998年度から発行されるようになり、SPC(特定目的会社)活用の有無に関わらず債券発行を集計すると、2001年3月までの総額は1兆円を超えたとみられる。
2. 米国におけるCMBS発行は、1998年のロシア金融危機に続く混乱を境に減少しているが、2000年末の発行残高は1,980億ドルに達している。94-95年頃から、証券化を前提にしたノンリコースローンの専門会社(コンデュイット)を中心としたCMBS組成が主流となっており、商業不動産への有力な資本供給先として定着した感がある。また最近では年金基金の資産運用手段としても認められつつある。
3. わが国のCMBSでは、シングルボロアー型が多い、正常債権を裏付けとした債券が多いなど、全体的にオリジネーター(旧資産所有者)の資金調達手段としての側面を強調した案件が多くみられる。一方で、ノンリコースローン(非遡及型融資)が一般的でないこともあり、米国流のコンデュイットビジネスの隆盛はあまり想定しがたい。
4. 企業のバランスシート再構築を動機としたCMBSの組成は、企業会計制度の変更などをにらんで、今後もある程度続くことが予想される。さらに、伝統的に不動産担保融資と信用・保証融資をセットにした金融を行ってきた銀行の資産リストラに伴い、CMBSが活用される可能性もある。
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