1. 2000年秋以降、株価下落を背景に証券市場活性化論議が活発化している。証券市場の活性化は、株価をいかに上げるかという観点ではなく、96年の金融ビッグバンで目標とされた我が国のマネーフロー構造の転換を、いかに実現させていくか、という観点でなされるべきである。
2. 我が国の個人金融資産は、銀行や生命保険に集中しているため、経済・産業の成長に不可欠なリスクマネーは、銀行や生命保険会社がもっぱら提供してきた。しかし、このシステムには無理があることは、バブルの崩壊によって証明された。銀行や生命保険会社は、もはやリスクを十分担えなくなっている。今後は、証券市場を通じて、幅広い主体がリスクキャピタルの供給を担う必要がある。
3. 我が国の大半の個人は、歴史的に証券保有に全く関心を抱いていない。この大半の個人に変化をもたらさなければ我が国のマネーフローの基本的構造は変化しないが、彼らが自主的に株式や投信を購入していくような状況は容易に実現しない。MMFのような安全性、流動性の高い証券商品、及び確定拠出型年金、ESOP、あるいはETFのような投資経験の浅い個人にふさわしい商品の導入が可能になることが望まれる。
4. 同時に、公正で効率的な市場を実現する上で、金庫株の導入やTOBの活発化の他、間接金融偏重につながったかつての預貯金優遇税制に対し、証券投資優遇税制を本格的に検討していくことが必要と考えられる。
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