1. 2000年11月13日、米国の先物取引所であるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)は、従来の会員組織形態から株式会社組織へ再編された。最近、欧州を中心に取引所の株式会社化が相次いでいるが、CMEの組織変更は、米国の取引所による最初の本格的な株式会社化の事例として注目される。
2. CMEが株式会社化に踏み切った狙いとしては、(1)100以上あった各種委員会を14に整理統合したり役員の人数を減らすなど意思決定の迅速化を図る、(2)ビジネス・パートナーとの株式持ち合いなどを図る、(3)プロの経営者を招聘するなど経営改革を進める、といった点が指摘できる。もちろん、取引参加権と経営参加権を分離し、会員が経営参加権を手放して現金化することを可能にするという効果もあった。
3. CMEの株式会社化には、(1)取引参加権を有する株主が独自に取締役を選任する権利を確保する、(2)取引資格等については取引参加者のみで決定できるよう定款に定める、(3)経営陣の刷新と委員会の合理化を除いては急激な変化を避ける、といった特色がみられる。将来の外部株主導入に備えて、市場参加者の利害を損なわないよう十分に配慮したと言える。
4. 2000年12月に施行された改正証取法によって、わが国においても、証券取引所の株式会社組織への転換が可能となっている。既に東証が「組織形態のあり方に関する特別委員会」を設置するなど、株式会社化の可能性を検討する動きもある。
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