1. 個別の顧客ごとに専任のプライベート・バンカーがアドバイスやサポートを提供してきた伝統的な富裕層市場と異なり、マス・マーケットの一部としての認識しかされてこなかった大衆富裕層マーケットに、欧州金融機関の注目が集まり、大衆富裕層をターゲットとしたプライベート・バンキングの導入が相次いでいる。
2. 背景には、大衆富裕層がその数を急速に伸ばしており、将来的にも増える可能性が高いこと、インターネットなどの発達によってマス・マーケットとは差別化したサービスを効率的に提供することが可能になったことなどが挙げられる。大衆富裕層が、超富裕層などに比べて、投資にまわすことが出来る資産を多く有していることもまた背景として考えられる。
3. 新プライベート・バンキングでは、大衆富裕層を「投資判断の材料が揃えば、自らの判断に基いて投資が出来る層」として位置づけ、各金融機関は、投資を決断するまでの助け、投資時の利便性の向上を様々な方法で追求している。主な銀行としては、ナットウエスト、CSFB、メリルリンチHSBCが挙げられる。これまでエクイティ投資に消極的だった大衆富裕層を後押しするサービスである。
4. 今後は、提供する投資情報を他社とどう差別化していくか、プライベート・バンキング・サービスとしてのテイラーメイドの投資アドバイスができるかどうかが注目されよう。
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