1. 信用金庫の合併等は1980年代にはあまり事例がなかったが、1990年代に入ると活発に行われるようになり、1989年度末には454金庫あった信用金庫数は、2001年度末には343金庫にまで減少している。
2. 1990年代に合併等が急増した背景は、預金金利の自由化や他業態との競争激化等に備え、戦略的に合併を行うケースが増えたことに加えて、救済合併の事例が増えたことにある。
3. 預金保険法は、預金定額保護下における破綻処理の方法として、資金援助方式と保険金支払方式の二通りを定めているが、1999年12月の金融審議会の答申は、破綻に伴うコストや混乱が少ない資金援助方式を優先して適用すべきとしている。
4. 2002年8月29日、金融庁は「金融機関の合併促進策について」を取りまとめ、(1)手続き面の環境整備、(2)税制措置、(3)資本増強策、(4)預金保険の付保限度額についての経過措置、等について具体的措置を公表した。
5. 金融庁による施策は、政府主導で金融機関の合併を誘導するというよりも、むしろ合併をする金融機関を側面支援する色合いが強く、施策によって、信用金庫の合併が多発するとは考えにくい。
6. 信用金庫における合併のメリットを一括して結論付けることは、現実的ではない。合併の判断は、個別の事情を踏まえた上で、それぞれの信用金庫によってなされるべきである。
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