1. 90年代に機関投資家がヘッジファンド投資への関心を高めたことなどから、ファンドマネージャーの情報開示が進み、また客観的に収集された市場情報も増えてきた。ヘッジファンドの投資手法においても、市場トレンドを予測して大きくポジションをとるタイプの戦略から、市場の動きに中立的で下げ相場においてもリターンの獲得を目指すタイプの戦略の重要性が高まっている。
2. 欧米の大手金融機関は、ヘッジファンドを金融商品として強く意識しはじめており、これまで有力ヘッジファンドにアクセスできなかったり、関心が低かった個人投資家層に対して、ヘッジファンドの販売を強化している。この際、活用されているのが「ファンド・オブ・ファンズ」である。また、投資信託の運用方針に「株式ロング・ショート戦略(株式ヘッジ戦略)」を採用した商品開発も盛んに行われている。
3. 一方で、ヘッジファンドの普及に対して、米国の規制当局などからの懸念がないわけではない。
4. わが国でも、ヘッジファンド関連商品を個人投資家の富裕層等に販売しようとする動きがみられる。欧米の超富裕層の中から生れ育ったヘッジファンドが洗練された姿で輸入されてきたともいえ、中長期的には、欧米とは異なる経路ながら、わが国にもヘッジファンド投資が徐々に普及していくのではないかと思われる。
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