1. 最近、コーポレート・ガバナンス・レーティングが注目されている。これは、財務指標や収益成長の可能性に着目した従来の信用格付けや株価格付けとは異なり、コーポレート・ガバナンスの充実度合いによって企業を評価し、格付けしようとするものである。
2. ガバナンス・レーティングは、取締役会の活動状況や報酬制度の在り方などガバナンスに関する情報を数値化して他社比較を可能とし、投資判断や議決権行使の際に利用されることを期待されている。
3. ガバナンス・レーティングは、欧州企業やエマージング市場の企業を対象としたものが先行している。2002年6月に、議決権行使助言サービス会社ISS社が米国企業を対象とするレーティング・サービスを開始したほか、格付け会社のS&P社やムーディーズ社も米企業のガバナンス評価の強化を進めている。
4. ガバナンス・レーティングが市場に定着するには、レーティング基準の妥当性、情報の信頼性、分析の中立性を確保することが必要である。今後は、ガバナンス・レーティングを投資判断の尺度の一つとして活用する投資家が増加することも考えられる。
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