1. わが国では2002年3月15日、証券決済システム改革法案が国会に提出された。今国会での成立、2003年1月6日の施行を目指す。
2. 証券決済システム改革法案の中核を成すのが、短期社債振替法を改正する社債等振替法案である。同法案は、社債、地方債、国債など幅広い種類の有価証券について、統一的なペーパーレスの振替決済法制を新設する。社債登録法は廃止が提案された。
3. 新しい社債等振替決済制度は、振替機関の下に、証券会社、金融機関等が多層構造を成す形が想定されている。法案には、誤記録等の発生時の措置、振替機関等が破綻した際の投資家保護策なども規定されている。
4. 証券決済システム法案にはまた、清算機関を初めて法律上定義づける証券取引法改正案も盛り込まれている。清算機関の機能は一般に、証券決済リスクの削減に有効だが、これまでわが国では法律上の定義づけがなされていなかった。
5. 証券取引のペーパーレス化はわが国証券決済制度改革の主要課題の一つとされる。社債等を対象とする今回の改革が成立すれば、次なる課題は株式等となる。株式のペーパーレス化については、商法改正の残された課題として株券の不発行制度が挙げられている。
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