1. 米国では1999〜2000年に大量のプライベート・エクイティ投資資金がファンドに集まったが、ハイテク産業・メディア産業におけるベンチャー企業の勃興、大型の買収・再編に過度の期待をかけた資金の行き場がなくなり、一種の消化不良を起こしている。その悪影響は、損失の計上・リターンの低下という形で徐々に顕在化すると考えられ、調整にはもうしばらくの時間を要しよう。
2. 一方、欧州のプライベート・エクイティ投資市場は、米国市場における混乱からの影響はある程度まぬがれないものの、比較的安定し、新たな大型ファンドも組成されている。背景には、元来、欧州市場がバイアウトを主体に成長してきたこと、ブーム期にも米国のようにベンチャー投資に過剰に依存しなかったこと、M&A取引が増大し出口戦略がたてやすいこと、欧州の機関投資家がプライベート・エクイティ投資を徐々に積極化させていることなどがあげられる。
3. その他、欧州市場では、バイアウト案件の大型化、大陸諸国における投資機会への期待(企業再編・民営化)、米国系ファンドの流入などの動向もみられる。世界的にみたプライベート・エクイティ投資市場で、欧州が米国と肩を並べる市場に成長しつつあることは、わが国の投資家にとっても注目されよう。
|