1. 米国では、エネルギー商社エンロンの経営破たんと、一連の不正会計の発覚により、株式市場に対する投資家の信頼が大きく揺らいでいる。
2. エンロンのガバナンスで問題とされたのは、経営者と監査法人との癒着、取締役と会社との金銭関係、ストック・オプションやSPEなどへの自社株の過剰利用である。
3. 米国議会や証券取引委員会(SEC)は、投資家の信頼回復に向けて、企業の責任追及を厳しくし、監査法人への監督を強化するなどの諸施策を打ち出している。
4. SECの要請を受けて、ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダックも、(1)独立取締役の要件の厳格化、(2)監査委員会の権限強化、(3)ストック・オプションの総会承認の義務づけなど、コーポレート・ガバナンスに関する改正提案を公表し、パブリックコメントを求めている。経営者団体であるBRTも、上場規則案を支持し、自らも健全なコーポレート・ガバナンスを確立し、推進していく決意を表明した。
5. こうした米国におけるコーポレート・ガバナンス改革は、米国型と呼ばれる委員会等設置会社制度が導入され、ガバナンス・モデルの選択肢が広がるわが国企業のガバナンスのあり方を議論するうえでも参考となるだろう。
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