1. 米国では1980年代後半に、S&L(貯蓄貸付組合)を中心に金融機関の経営破綻が相次いだ、いわゆる第二次S&L危機が発生した。
2. この金融危機への対応としてRTC(整理信託公社)が設立され、不良債権を抱えた経営悪化金融機関の淘汰が進められた。またその破綻処理はP&A方式(資産、負債承継方式)を中心に行なわれた。このP&A方式は我が国のペイオフ解禁後の破綻処理策としても注目されている方法であり、この時期の米国の個人金融資産動向を検証していくことは、我が国の動向を予測する上で参考になると考えられる。
3. 具体的検証は金融商品ごとの動向と、世帯収入及び年齢階級別の個人金融資産動向の二方向から行なうこととする。
4. 検証結果からは、金融危機という過度な不安心理を招きやすい事態にもかかわらず、米国の個人が金融危機そのものに振り回されていない姿勢が確認できた。
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