1. 英国金融サービス庁(FSA)のハワード・デイヴィス長官は、2002年2月に、かねてから実施してきた学校での起業教育に関する調査結果、及びその調査結果を踏まえた提言を公表した。
2. 英国の起業教育は、単独の科目として取り扱われているのではなく、保健体育と家庭科とを統合した科目PSHEや公民(Citizenship)の内容に盛り込まれている場合が多い。こうした講義形式の内容に加えて、就業体験プログラム、実務家による学校訪問、ミニ起業スキームなどを受講出来る学校も少なくないが、起業プログラムの内容は様々で、方向性が定まっていないのが現状である。
3. こうしたなかで発表されたデイヴィス長官の提言の主な特徴は、以下の2点である。第一に、事業を企てる能力(Enterprise Capability)の定義を明確にしたうえで、起業教育が上手く機能しているかチェックする体制を確立すること、第二に、政府、学校、地元民間企業との連携プレーを強化することで、質の高い起業教育を提供することである。
4. 投資教育とならんで、質の高い起業教育を普及させることで、投資家、起業家という金融・資本市場を担う両輪を育てようとする英国の動きは、わが国にも大いに参考となろう。
|