1. 2001年12月2日、米総合エネルギー会社で、全米7位の巨大企業であるエンロンが、突如破綻した。米国史上最大の会社倒産である。
2. 破綻の直接の契機は、SPEsを使った不明朗な取引が発覚したことから、重大な企業犯罪の疑いが生じ、また同社の会計報告の信頼性も大きく損なわれた点にある。
3. この結果、監査法人のあり方やディスクロージャーのあり方を巡る議論が高まっている。同時に、コーポレート・ガバナンスのあり方や、アナリスト、格付け機関、銀行のあり方も問われている。
4. また、エンロンの従業員の401(k)は、その多くの部分が自社株への投資となっていたため大きな損失を被った。401(k)を通じた自社株投資を規制する法案も浮上している。
5. こうした各種の問題は、米国における近年のITバブルとその崩壊の過程で、既に部分的に表面化しつつあった。エンロンの破綻は、これらの問題を一気に表面化させ、本格的な議論の俎上に乗せる引き金となった。
6. 現在の米国の資本市場制度のフレームワークは、1920年代の株式市場のブームとその崩壊の過程で生まれたが、今回、その本格的な見直しを巡る議論が、当時にも似た広がりと深まりを見せていく可能性がある。
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