1. 2001年秋の臨時国会では、政府提出および議員提出の2つの商法改正法案が可決・成立し、2002年4月1日より順次施行される。2つの商法改正は、ファイナンス関連事項とガバナンス関連事項に大別できる。
2. ファイナンス関連では、ストック・オプションの制度拡充に伴い、新株予約権制度が創設された。また、単独発行できる新株予約権や議決権の内容が異なる種類株式など、企業の資金調達の選択肢が広がった。
3. ガバナンス関連では、会社開示書類の電子化に対応し、株主総会の招集及び議決権行使に当たってインターネットや電子メール等の利用が可能となるなど、株主と会社間のコミュニケーション手段が改善されている。議員立法では、監査役の権限や監視機能を強めたうえで、取締役等の責任を軽減する新しい制度の導入や代表訴訟制度の見直しが行われている。
4. 2001年秋の商法改正は、これまでの一連の商法改正が、企業の経営姿勢に対し、債権者重視から株主重視への転換を促すものであることを象徴している。多様なファイナンス手段の中から適時かつ適切な手法を用いることのできる経営手腕の発揮と、実効性あるコーポレート・ガバナンスの確立が期待される。
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