1. 2001年10月に施行された改正商法では、単元株制度が導入され、株式分割や売買単位のくくり直しに関する規制が撤廃された。これを受けて大幅な株式分割を発表する企業が相次ぐ一方、証券取引所等は、個人投資家の市場参加を促進するという観点から、公開企業に対して投資単位の50万円未満への引下げを呼びかけている。
2. こうした中で、1998年度以降の3年度に株式分割、くくり直しを実施した企業について、(1)個人株主数、(2)個人持株比率、(3)流動性、がどのように変化したかを検証した。
3. この結果、投資単位の引下げが個人株主数の増加につながること、とりわけくくり直しの場合は個人持株比率の上昇にもつながりやすいこと、が確認された。しかし、流動性の向上については、明確な証左が得られなかった。流動性が向上しないのであれば、株主数が増加しても株主管理のコストが増加するだけで、投資単位の引下げにはデメリットが多いと判断する企業もあろう。
4. そもそも、一株の大きさをどの程度にするかは、様々な観点からなされるべき経営判断である。自ら投資単位の引下げを望まない企業にまで、市場運営者が一律に引下げを強制するような手法には、問題が多いと言わざるを得ない。
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