取引所制度改革と市場間競争の展開
1998年12月に実施された金融・資本市場の一大制度改革「金融ビッグバン」によって、市場間競争の考え方がわが国でも認められるようになってから、5年近くが過ぎた。
市場間競争とは、証券取引所や証券会社の運営する私設電子取引システム(PTS)など多様な市場運営者が、自市場へのオーダー・フロー(売買注文の流れ)誘致をめぐって競争することを指す。従来、わが国では、証券取引所など市場運営者の公共的な性格を重視する見方が強く、証券市場間に競争原理を導入するという考え方は理解されにくかった。
「金融ビッグバン」では、証券取引法が大幅に改正され、上場株式の売買を取引所外で行ってはならないとする市場集中原則が撤廃されるとともに、証取法の禁じる取引所類似施設に該当する懸念が指摘されていたPTSの開設が、証券業務の一つとして容認された。また、それまで取引所市場を補完する存在と位置づけられてきた株式店頭市場が、取引所市場と対等とされる「店頭売買有価証券市場」へと、いわば格上げされた。一方、証券取引所の合併や解散に関する規定も整備され、取引所の再編が容易になった。
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