1. 証券監督者国際機構(IOSCO)は2003年9月25日、証券アナリストが直面する可能性がある利益相反に関して、証券市場規制当局の道しるべとなる基本方針を公表した。EU委員会も同月、IOSCOに先んじて証券リサーチに関する方針を公表した。
2. EU委員会は、証券リサーチを取り巻く体制がベスト・プラクティスに立脚した原則主義に基づくべきであるという立場に立っており、米国同様、事細かに禁止事項を規定しようとしているIOSCOの方針とは一線を画している。
3. アナリスト問題の核となっている利益相反への対処方法も対照的である。EU委員会案では、利益相反への対応および情報開示は、証券会社の経営幹部が責任を持つとし、その方法については各証券会社の裁量に任せるとされている一方で、IOSCOは、リサーチ部門と投資銀行部門とを物理的に分離することなどによって、利益相反の芽を摘むべき、という方針に立っている。
4. IOSCOの基本方針が公表されたことで、今後欧州各国の規制当局がどのような動きに出るのかが注目される。FSAは、グローバルな業務を展開する証券会社が米国型のアプローチを望んでいるのに対し、国内業務に特化する証券会社は事細かな規則を制定しないEU型のアプローチと調和する解決策を望む傾向にある、という温度差を認識している。FSAはこうした点を踏まえたうえで英国市場における効果的な解決策を見出す、という難問に挑むことになる。
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