1. EUは、2003年7月15日、域内の目論見書規制統一に関する指令を正式に採択した。各構成国は、2004年6月末までに指令の内容を実施するための国内法整備を完了させなければならない。FSAP(金融サービス・アクション・プラン)に基づくディスクロージャー制度統一へ向けて、また一歩前進した。
2. 本指令は、EU域内における証券の公募、上場に適用される。取引所への正式上場だけでなく、「規制市場」での取引全般に適用される。フェア・ディスクロージャーの考え方や電子媒体の利用など、最近の新しい動きを反映した規定も盛り込まれている。
3. 指令の内容でとりわけ注目されるのは、目論見書に使用される言語に関する規定である。これまで各国は、目論見書の自国語への翻訳を要求することができたが、新指令では、「国際金融における慣行上用いられている言語」(英語)で作成されている場合は、要約のみしか翻訳を要求できないものとした。また、大口投資家のみを対象とする証券を公募、上場する場合には、英語のみでの作成も可能とされる。
4. 本指令は、わが国証券市場の国際化を進めるための制度整備を考える上でも、示唆に富むものと言えよう。
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