1. 米国では2000年のITバブル崩壊後、市場の低迷と個人投資家の不安をあおるような事件が重なったこともあり、オンライン証券会社の取引高は激減した。しかしこのような逆境下にあっても、オンライン取引のトップであったチャールズ・シュワブは、順調に個人金融資産を取り込んできた。
2. その背景の一つには、同社がアドバイスも提供するフルサービス証券会社となったことがある。ただし、伝統的証券会社が、選択と集中を行う意味からも、富裕層に特化してアドバイスを提供しようとしているのに対し、シュワブはデイトレーダーから超富裕層までを対象顧客として、多様なレベルのアドバイスを提供している。
3. 加えて同社は、投資を手控えている投資家を再び市場に呼び込むため、メッセージ性の強い広告を打ち出して投資家の好感度を高めつつ、割安感のあるキャンペーンを行って心理的な参入障壁を下げる工夫をした。今後の同社の課題は、アドバイスの専門性に対する投資家の認知度を高めていくことであろう。
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