1. 2003年8月19日、米国最大の公務員年金基金であるカルパース(CalPERS:カリフォルニア州職員退職年金基金)が、同基金から証券の売買注文を受注する証券会社に対して一定の利益相反防止措置の実施を求める意向を発表した。
2. カルパースの取り組みは、2002年7月にニューヨーク州、ノースカロライナ州、カリフォルニア州が証券会社と資産運用会社に利益相反防止策を義務付けたことを端緒としている。2003年には、カリフォルニア州財務長官が、2002年の防止策に新たに15項目を加えた基準を発表している。カルパースは、今回、その新基準を採用する。
3. エンロンやワールドコムの破たんで損失を被った米国公務員年金基金は、企業のコーポレート・ガバナンスのあり方のみならず、証券会社の利益相反問題にも目を向けるようになっている。カルパースは包括的和解に参加した10社以外で同基金と取引関係のある証券会社に対して、包括的和解と同様の対策を義務付けようとしている。
4. 米国で地方政府の公務員年金基金は残高が2兆1049億ドル(2003年第2四半期現在)の巨大な機関投資家である。特にカリフォルニア州、ニューヨーク州、ノースカロライナ州の公務員年金基金は大手であり、証券市場への影響力も大きい。
|