1. ドイツ、フランス、イタリア3ヶ国の郵便局は、幅広い店舗網を通じて投資信託の販売を行っている。各国の郵便局は、伝統的な預貯金を中心に築いてきたリテール分野での顧客基盤に対して、投資信託を提供することによって金融サービスの充実を図っている。もっとも、欧州では、投資信託の販売チャネルとして銀行が圧倒的なシェアを占めていることなどから、郵便局のプレゼンスは限定的である。
2. 各国の郵便局に共通に見られる特徴としては、リスクに対する許容度が小さいと考えられる中・低所得者層が顧客の主流である点、販売員の金融商品に関する知識・販売経験が十分でないと見られている点などを指摘できる。
3. 郵便局では、これらの点をふまえて、提携会社が運用する投資信託の導入による商品力の強化(ドイツとイタリア)、元本確保型ファンドなどリスクが小さい投資信託の開発、販売員の教育研修強化などに取り組んでいる。また、商品ラインアップやパンフレットでのファンド紹介を簡潔・単純にして、販売員や顧客の利便性を高めようとする工夫などもなされている。
4. わが国でも日本郵政公社が2003年5月に発表した「アクションプラン」の中で、投資信託販売の実務的スキームについて検討を開始する方針を打ち出した。欧州の郵便局の取り組みと今後の展開は、日本にとっても参考になる点が少なくないであろう。
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