1. 1992年のキャドベリー報告書以来、英国のコーポレート・ガバナンス規制は、ガバナンス原則と最善の行為規範を各企業が順守しているか、順守していなければその理由を説明させるというスタイルを取っている。そのため、法律で画一的に定めるよりも、ガバナンスを取り巻く情勢の変化に応じて柔軟に問題点の整理と原則や行為規範の修正が行われるようになっている。
2. 米国企業エンロンの経営破たんを契機に、英国でも、同様の事件が起きないよう、自国におけるガバナンスの検証が行われ、2003年1月に英国企業における社外取締役の役割と有効性を検証するヒッグス報告書が公表された。
3. ヒッグス報告書は、社外取締役の役割を明確に定めること、取締役会議長とCEOとの兼任禁止、社外取締役への研修義務づけなど、取締役会の独立性と専門性を高めるよう統合規範を修正することを勧告している。
4. わが国でも、商法改正に伴い、ほとんどの上場企業が社外取締役や社外監査役を増員する必要がある。今後、社外取締役や社外監査役にどのような資質や役割を求めるべきかを検討するに当たり、英国の取り組みは大いに参考になるだろう。
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