1. 英国金融サービス庁(FSA)は2003年2月12日、「インベストメント・リサーチ及び証券発行における利益相反」と題するコンサルテーション・ペーパー(CP)を発表した。
2. 同CPでは、証券会社は、(1)セルサイド・アナリストの所属するブローカレッジ部門と投資銀行部門との間に設けられている業務隔壁(チャイニーズ・ウォール)を強化すること、(2)アナリストによる個人的な証券投資を禁止すること、(3)投資家側が利益相反の可能性を理解できるよう、調査レポートにおける情報開示を拡充することなどが求められており、基本的に米国の規制当局による動きと歩調をあわせる内容となっている。もっとも、アナリスト本人による宣誓や独立系リサーチの提供など、さらに一歩踏み込んだ規制の導入に関しては、FSAの提案が米国とは一線を画するものとなっている。
3. 企業の情報を収集し、それらの情報を用いて投資評価を行うアナリストは、効率的な証券市場を構築するうえで欠かせない存在である。それだけに、アナリストが、外部からの圧力に晒されることなく、正確な投資評価をすることが出来る環境を整えることがますます重要になってくる。
4. 今後FSAはパブリック・コメントを受け付けた後、2003年夏までに最終的な改革案を含むポリシー・ステートメントを公表する予定である。
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