1. 現在、国際会計基準理事会(IASB)では保険の時価会計が検討中であり、わが国でも時価会計が保険会社に与える影響についての議論が活発化しつつある。IASBでの議論はこれまで情報の限られていた保険会社の負債に時価会計を導入し、ディスクロージャーを強化する内容であり、わが国生命保険会社の経営に大きな影響をもたらす可能性がある。
2. IASBは2005年からのEU上場企業による国際財務報告基準(IFRS)の採用に合わせて、保険契約に関する暫定的な基準作りを進めている。IASBが検討している基準は、保険負債の公正価値の計算や保険契約を保険部分と投資部分に分解するなど、これまでの会計実務と大きく異なる面も多く議論は難航している。
3. 2005年にあわせた暫定基準では、現行の会計実務のほとんどが認められ、保険会社の会計実務や利益計算への短期的な影響はそれほど大きくないものと思われる。
4. ただし、保険負債の額を適性に計算し調整すること、さらには、水準の適格性を外部から判断できるような情報を拡充することは大きな流れであり、生命保険各社は、ディスクロージャーの改善や、今後の資産運用及び商品戦略について早期の対応が必要となろう。
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