1. 英国金融サービス庁(FSA)のタイナー理事は2003年1月31日、英国の生命保険会社各社のCEO宛てに書簡を送付し、申請があれば現行の健全性基準の適用を一時免除することや同基準の変則的な適用に対して柔軟な対応をする方針を伝えた。この書簡を受けて、4月8日にはリーガル・アンド・ジェネラル、4月10日にはアヴィヴァやプルデンシャルなどが、現行の健全性基準の適用を一時的に免除することが認められた。
2. この背景には、昨今の株式相場の下落に加えて、FSAが、従来からその有効性に疑問が提示されていた現行の健全性基準から、2004年初頭にも導入を予定しているより現実を反映した健全性基準への移行を前倒しで実施していこうとする意図があるものと思われる。
3. したがって、免除を申請できる会社は、新たな健全性基準で見た財務基盤に問題がない生命保険会社に限られることになっている。一方で、FSAは、現行の健全性基準を遵守できない状態にあり、かつ現実的な基準で見た場合でも財務基盤が弱体化している保険会社については、具体的な改善計画を迅速に策定することを求めるなど、厳格に対応していく方針を示している。
4. 英国におけるこうした動きは、環境の変化に応じて、常に実態を反映したより適切な監督を追求するという前向きな姿勢の表れであり、単純に、株価の下落を防ぐために現行の規制を一時放棄するといったものではない点に注目しなければならない。
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