1. ここ数年、外国人株主のわが国企業への議決権行使が活発化している。また、わが国でも、委任状の勧誘を伴うような株主提案がなされ始めている。そのため、定足数確保の観点以外からも、外国人株主の議決権行使動向は、発行体にとって重要性を増しており、彼らとのコミュニケーションを円滑化するためにも、議決権行使のプロセスを把握しておく必要がある。
2. 株主名簿に記載されている株主と議決権行使の指図をする主体が異なること、外国株式投資においては、投資先企業のある各現地で、様々な事務処理をする機関が存在することから、外国人株主がわが国企業に対して議決権を行使する際には、グローバルカストディアンとサブカストディアンという2つの仲介機関が間に入る。
3. 現在、多くのグローバルカストディアンは、外国企業への議決権行使事務を代行業者にアウトソーシングしている。最もよく知られている米国の代行業者ADP社は、2002年から、議決権行使担当者がインターネット経由で簡単に議決権行使の指図をできるサービスを提供している。
4. わが国企業においては、外国人株主に、会社の立場や議案の内容を正しく理解してもらった上で議決権行使をしてもらうために、技術的な面での改善と、積極的な海外IR活動の両方が求められよう。
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