1. わが国学校法人関係者の間で、学校債による外部からの資金調達が注目されている。主な背景として、(1)内部関係者に限定されていた学校債の引受け対象が文部科学省の通達により一般人に広げられたこと、(2)学生の獲得手段として教育設備等の更新が学校法人の間で活発化していること、(3)学校法人が財務格付けを取得することにより対外的に財務の健全性をアピールできるとの見方、がある。
2. 一方、資本市場の発達した米国では学校債は外部資金調達手段として定着しており、900の公私立大学が免税債を中心に発行している。設備投資等の資金を全て学校債の発行で賄うわけではなく、金利動向や寄付金の運用実績等を勘案しつつ運用資産や経常収入、寄付金等の手段と組み合わせている。主な購入層は機関投資家と各大学のOBとされ、財務格付けが購入の判断基準として普及している。
3. 今後、わが国で学校債が米国並みに普及するために解決すべき課題として、(1)証券取引法の改正等学校債が投資家保護の観点から必要不可欠な規制に服するような制度設計の検討、(2)学校法人による財務管理の高度化や財務格付けの取得・財務情報の公開といった投資家の理解を得るための取り組み、(3)財務諸表の整備等投資家の視点に立った会計制度の見直し、があげられる。
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