1. トラスト型優先証券は、優先株等と同様の目的で発行される証券である。米国では、過去10年、この市場が大いに発達した。
2. 仕組みのポイントは、親会社がビジネストラストに支払うのが配当ではなく債券の利息であり、したがって損金算入(tax deductible)できる点である。
3. トラスト型優先証券の資本としての性格を踏まえ、FRBは現在、金融機関の自己資本比率算出に際して、一定の上限までTier1に組み入れることを容認している。
4. 主要な格付機関は、幾つかの条件付きで、トラスト型優先証券には、親会社が抱える一般債務の信用力の向上に資する効果があるとしている。
5. 投資家にとっては、普通社債などと比較して最終利回りが高いことや、株式や債券との相関が低く、分散投資に適した資産であることなどが魅力となる。最近では、個人投資家による投資も活発に行なわれているようである。
6. トラスト型優先証券が、現行制度の抜け穴を利用したものであるとの批判がないわけではない。市場規模が相当に広がっており、制度変更が突然起こる可能性は小さいとされるが、こうしたリスク要因も念頭にいれた上で、市場の今後の発展を注視していく必要があるといえよう。
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