1. 2003年1月17日、米財務会計基準審議会(FASB)は特別目的事業体(SPE)の連結について新たな解釈指針FIN46を発表した。
2. 米国では、エンロン事件において見られたような、SPEを用いた簿外取引による会計操作が大きな問題として認識されてきており、FIN46はその問題に応える形で、SPEへのコミットメントに関して新たに変動持分という概念を導入し、過半の変動持分を保有する者がSPEを連結すべきであると規定した。
3. FIN46の導入により、SPEの連結対象範囲が大幅に拡大し、連結財務諸表を通じた企業グループ財務内容の開示充実が図られるものと思われる。しかしながら、FIN46の内容には現実的な適用に際し曖昧、抽象的な点も多く、また、企業財務、金融実務(とりわけ証券化業務)へ与える影響も大きい。SPEが有する経済的メリットの側面にも配慮した上で、その運用方法をより実践的な方向に向かって詰めていくことが今後の課題となろう。
4. SPEの連結については、国際会計基準では既にFIN46と同様のアプローチが導入されているが、わが国においては統一的な考え方は示されていない。会計の国際化、信頼性の高い財務報告の実現という見地からも、本問題への早急な取り組みが待たれる。
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