1. 2003年5月21日、EU委員会は、「欧州連合における会社法の現代化とコーポレート・ガバナンスの向上 −前進のための計画」と題する文書を発表した。これは、EUの会社法制度改革における取り組むべき課題を明らかにした行動計画である。
2. EUは、構成国の会社法制度を統一するために、二つの取組みを進めてきた。一つは、域内どこででも同じ法形式に則った会社の設立を可能にするための欧州統一会社法の制定であり、2001年10月、欧州会社法規則が採択された。もう一つは、EU指令を通じた各国会社法制の調和化である。
3. 今回発表された行動計画は、(1)株主の権利と第三者に対する保護の強化、(2)企業の効率性と競争力の向上、の二つを主たる狙いとしながら、短期(2005年まで)、中期(2008年まで)、長期(2009年以降)に分けて、(1)コーポレート・ガバナンス、(2)資本の維持と変更、B企業集団、C企業のリストラクチャリング、(5)閉鎖会社、(6)協同組合等、(7)透明性の向上、の各分野における解決すべき課題を整理している。
4. 金融サービスに関する行動計画(FSAP)に基づいて進められている資本市場法制改革と今回の行動計画に基づく会社法改革が進展することで、欧州の資本市場をめぐる法制度は大きく変化することになる。
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