1. バーゼル銀行監督委員会は、2003年4月、新BIS規制に関する第三次市中協議文書を発表した。これにより、現行BIS規制改訂作業は、いよいよ最終段階に入った。今後、2003年末には最終草案が提出され、順調に審議が進めば、2006年末以降、各国での適用に向かうことになる。
2. 米国でも適用に向けた検討が進んでいる。適用方針の骨子は、第一に、新BIS規制の適用対象行を上位行のみに限定すること、第二に、適用対象行は信用リスクやオペレーショナル・リスクの計測にあたって先進的手法を採用すること、第三に、非適用対象行であっても各行が望めば新BIS規制を適用することである。
3. 新BIS規制の適用を検討する段階に入ったにもかかわらず、ここへきて、特に連邦議会からその適用方針に異論が発せられている。論議のポイントは、(1)新BIS規制の複雑さ、(2)オペレーショナル・リスクの取扱い、(3)新BIS規制が景気循環に与える影響、(4)大銀行と中小銀行との競争上の不平等などである。
4. 今後、国内適用ルールの詳細が定められる予定であるが、注目点は上位行に限るとする限定適用方針に変更があるかどうかである。もっとも、米国がこの限定適用方針をとった背景には、米国の銀行業が健全性の点で問題がないとの判断があるからなのであって、その点、我が国の銀行業が置かれている状況とは全く異なる事情を反映したものであることについては留意が必要であろう。
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