1. 米国では、2002年半ば頃から、人気の高いIPO銘柄の不正な割り当てをめぐる問題が注目を集めていた。主要投資銀行が疑惑の対象として挙げられ、制裁金を支払って規制当局との和解に至るところも出始めた。
2. 規制強化の動きも進められ、2002年7月末には全米証券業協会(NASD)が規則改正案を出した。さらに、証券取引委員会(SEC)の依頼を受けてニューヨーク証券取引所(NYSE)とNASDにより諮問委員会が設置され、2003年5月には20の提言から成る報告書が提出された。
3. 諮問委員会報告書は、IPO銘柄の不正な割り当て問題にとどまらず、ブックビルディング方式によるIPO手続き全体が抱える問題点を洗い出すものだった。IPO価格決定の不透明性の解消、不正な割り当ての排除、投資家によるIPO関連情報へのアクセスの格差解消、発行体及び投資家教育の必要性といった観点から、必要な対策が提言された。引き受けを手がける証券会社のみならず、発行体に関する提言も含まれている。
4. 諮問委員会報告書の依頼元であるSECは、IPO手続きに関する調査を続け、新規則導入等の必要性を見極めるとしており、今後の動向が注目される。
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