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資本市場クォータリー 2003年夏号
主要生命保険会社の2002年度決算の概要
─保有株式下落のインパクトが大きい─
鎌田 良彦(野村證券金融研究所)
要約
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1. 主要生命保険会社の2002年度の決算は、保有契約高が6年連続で減少したことに見られるように、保険引受業務において厳しい経営環境が続いたのに加え、株価の下落により保有株式の含み益が初めて損失となり、ソルベンシー・マージン比率や自己資本の減少を招いた点に特徴がある。厳しい環境に対応して、自己資本強化のための基金や劣後債務の取り入れ、リスク資産である株式の圧縮、団体年金保険など低採算事業の縮小・撤退、などの施策が活発化した。

2. 2002年度の主要生保10社合計の新契約高は、前年比7.9%減の110兆7,300億円と3年振りに減少した。これは、主力の個人保険の新契約高が、アカウント型商品の一巡などで前年比7.2%減少した要因が大きい。保有契約高は、解約・失効高は減少したものの、なお新契約高を上回る状況が続いたことや、団体保険・団体年金保険の業務縮小を行った会社もあり、前年比3.7%減の1,492兆2,708億円と6年連続で減少した。

3. 業務利益を示す基礎利益を見ると、2002年度は主要10社合計で、前年比3.6%減の1兆9,994億円となった。2002年度下期には団体年金保険の予定利率引下げという増益要因があったにもかかわらず、基礎利益が減益となったのは、保有契約高の減少の影響が大きかったためと言えよう。主要10社合計の逆ざや額は、前年比828億円減の1兆1,671億円と若干改善した。

4. 主要10社合計の経常利益は、前年比4.8%減の5,386億円、当期剰余(利益)は前年比6.3%増の3,543億円とそれぞれほぼ前年並みの水準となった。いずれも基礎利益の水準に比べて低い水準に留まったのは、2001年度に続き保有株式の下落により有価証券関連損益の大幅なマイナスが続いたことがその要因である。

5. 財務体質を示す指標であるソルベンシー・マージン比率は、保有株式の下落・圧縮などにより分母のリスクの総額が減少したものの、分子のソルベンシー・マージン総額の減少が上回ったため、2002年度末の主要10社合計の加重平均では570%と前年比で58%ポイント低下した。実質純資産額も前年比16.1%減の11兆円4,622億円に留まった。

6. ソルベンシー・マージン比率の低下に対し、主要生保ではETFの組成を含め、リスク資産である株式の圧縮を進めた。主要10社合計の株式の売切り額は、2001年度の1.8兆円弱に続き、2002年度には1.9兆円強に達したと試算される。

7. 今期についても、低金利の継続で逆ざや額の大幅な改善が見込めない中で、保有契約高の減少により基礎利益が減少するという収益パターンが続くと予想される。こうした中で、リスク資産である株式の更なる圧縮や、自己資本増強を目指した基金や劣後債務の取り入れが活発化しよう。また、今年度下期から来年度にかけては、合併や統合、株式会社化などの業界再編成が予定されており、その動向も注目される。

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