1. 英国金融サービス機構(FSA)は2003年4月7日、証券会社が株式売買仲介サービスの対価として顧客に課す手数料をめぐる規制の見直し案を発表した。2001年に発表された「マイナーズ報告書」で、手数料の不透明さが指摘されたことを契機に、英国では取引コストの透明性を高めようとする動きが始まっている。
2. FSAは、(1)ソフト・コミッション協定やフル・ブローカレッジ・サービスで提供できる財・サービスの範囲を制限すること、(2)売買執行以外のサービス・コストはすべて顧客に払い戻すことの2点を提案した。この提案が導入されれば、ファンド・マネジメント会社は、従来のように付加的サービスのコストを自動的に顧客に転嫁することができなくなる。
3. 年金基金が横並びになりがちな運用スタイルの見直しを求められているなかで、必要とされるリサーチや売買支援サービスも今後多様化が進むものと見られていることもあり、コミッションの透明性を高めようとするFSAの意図は頷ける。
4. しかしながら、コミッションに含めてよいとされるリサーチ・レポートやアナリストとのコンタクトといったサービスでさえ、ファンド・マネジメント会社がすべての対価を顧客に払い戻すことが求められている点には疑問を呈さざるを得ない。ともすれば、顧客の投資判断を支援するものとしての付加的サービス、という概念を否定することにつながりかねないからである。
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