1. 米国では、民間企業の被用者や自営業者向けだけでなく公務員向けにも確定拠出型年金制度が提供されている。中心をなすのは「457プラン」であり、公立学校の教職員と公立病院の勤務者を除く一般公務員や警察・消防職員等に適用されている。
2. 退職給付の柱と位置づけられることも多い401(k)プランとは異なり、457プランは公務員向け退職給付制度において補助的な手段としてみなされてきた。しかし、1990年代の後半になると、自治体の間で雇用の確保を目的とした適用対象の拡大や新規導入の動きが相次いだ。最近は、確定給付型年金に積立不足が生じていることから、新規に積立不足が発生しない確定拠出型年金に対する関心が高まりつつある。
3. 従来、457プランには加入者拠出の上限が401(k)プランに比べ低く設定されていたほか口座資産の他プランやIRA等への移換ができない等の問題点があったものの、確定拠出型年金の導入機運を背景に2001年の税制改正で改善が図られ、現在では401(k)プランとほぼ同様の仕組みを備えるに至っている。
4. 今後、わが国の公務員年金においては、公的年金の補完と雇用流動化への対応の二つの観点から確定拠出年金制度の検討が必要になるものと考えられる。
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