1. 米国では、2002年7月30日に成立した企業改革法に基づき、証券取引委員会(SEC)が規則の整備を進めており、現在までに、その規則案がほぼ全て出揃った。
2. 2002年10月24日には、会計士の監督制度改革の目玉として企業改革法に盛り込まれた公開会社会計監督委員会(PCAOB)の首脳人事が発表された。PCAOBの人事は当初から波紋を呼んでいたが、委員長に指名されたウェブスター氏をめぐる問題でSEC委員長とウェブスター氏が辞任するというハプニングにも見舞われた。
3. 企業改革法は、PCAOBの設置以外に、第二編で監査法人の独立性、第三編で発行会社に関する規定として監査委員会の体制や権限、企業年金プランの取引制限期間中の役員による自社株売買の禁止、企業弁護士の職務行為基準、第四編で簿外取引、内部統制や役員の倫理規定に関する情報開示の強化、第五編でアナリストの利益相反防止、そして、最後に刑事責任の強化まで規定する、広範な内容となっている。
4. これまでに、年次報告書と四半期報告書の適切性の宣誓、インサイダー取引の報告期限の短縮などを含む七つの規則が採択された。残りは、企業改革法の成立日から180日または270日以内という各々の期日に従い、順次、採択される予定である。
5. 企業改革法の外国企業への適用が注目されるが、全員外部の独立取締役からなる監査委員会の設置を義務づける規定については、一定の適用除外が提案された。
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