1. 2004年8月、ニューヨーク証券取引所(NYSE)は、200年以上にわたって続いてきた立会場における株式取引の仕組みを大幅に改め、従来のオープン・アウト・クライによるオークション取引と電子取引による自動執行とを組み合わせた「ハイブリッド市場」へ移行するという構想を発表した。
2. 構想の内容は、2000年12月に導入された小口注文の自動執行システムであるダイレクト・プラス(NYSE Direct+)の対象となる注文と機能を拡充する一方、自動執行のみでは価格変動が大きくなりすぎるといった場合に、スペシャリストとフロア・トレーダーによる伝統的なオークションを行うことで流動性の確保を図るというものである。
3. 今回の構想は、伝統的な立会場取引の仕組みこそが高い流動性と公正な市場の源であるとするNYSEの従来の主張からすれば、大きな方向転換であり、投資家や証券会社の多くが歓迎している。但し、立会場の廃止にまで踏み込まなかったことへの批判もみられる。
4. 先に証券取引委員会(SEC)が提案した「レギュレーションNMS」は、NYSEの立会場取引には不利に働くとみられてきた。今回の構想には、SECの問いかけに対するNYSEの回答という側面もあり、今後の展開が注目される。
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