1. 2004年4月の短観は、日本経済の回復プロセスが始まっているという期待を高めるものとなった。この回復の背景は、90年代後半以降の各種の改革努力の成果という面と、日本的経営のメリットが生かされているという面がある。新しい日本と古き良き日本の相乗効果である。
2. ただし日本礼賛に陥るのは行き過ぎである。景況感の好転の背景には、2003年5月のりそな銀行への公的資金注入で顕著となった株価上昇がある。わずか1年で悲観論から楽観論に180度振れてしまうところに、いまだ解決していない日本経済の構造問題を見るべきである。
3. 金融システムが景気や株価に大きく影響され、また金融システムの動向が景気や株価を大きく振り回してしまう背景には、銀行中心のマネーフローの問題がある。今こそ、マネーフロー構造改革を着実に推進する必要がある。
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