1. 英国の金融機関が、リテール・ビジネスの強化に動いている。その特徴としては、(1)オンライン取引の普及につれて一時は軽視されていた店舗網での対面サービスを向上させようとする動きが活発化していること、(2)第三者の金融機関との提携や買収を通じて、商品の品揃えを充実させようとしていること、(3)一時活発であった保険会社による銀行業務への参入が一巡し、自社製品の販売チャネルの維持、拡大に軸足が移ったこと、の3点を指摘することが出来る。
2. 折しも英国では、リテール販売チャネルの枠組みが2005年にも大きく変更される見通しがあり、従来以上に取り扱い金融商品を拡充できる道が拓かれる。そのうえ、2005年4月からは従来よりもシンプルな投資アドバイスのみで提供できる新たなタイプの商品、ステークホルダー商品が導入される見通しである。
3. こうした環境変化の中で、英国のリテール金融ビジネスが今後どのような方向に向かっていくかを考察することは、証券仲介業の解禁とも相俟ってリテール金融ビジネスの環境変化が進むわが国にとっても大いに参考になろう。
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