1. 英国では、個人の投資・貯蓄を奨励する優遇税制が各金融商品に存在する。現在、上場株式投資及び預金に対する優遇税制として、個人貯蓄口座(ISAs)制度がある。他方、未公開株式に関する制度は、企業への直接投資型制度(EIS)と未公開企業が投資対象の上場投資信託へ投資する投信型制度(VCT)の二つが存在している。
2. ISAsは、旧制度からの移行の過渡期にあるため、残高の増加は緩やかなものになっている。未公開株式に対する優遇税制であるEISとVCTへの投資額は、90年代末から2000年にかけてのベンチャー・ブーム以降落ち込んでいる。この状況を改善すべく、2004年4月6日からEIS及びVCTの税制優遇が拡大された。
3. わが国においても、個人投資家による積極的な市場参加を促すために様々な税制上の措置が講じられている。上場株式及び公募株式投信への投資に対する税制優遇や未公開株式への投資促進策としてエンジェル税制が創設された。
4. 英国でみるように、政府が個人の株式投資を税制面で優遇して奨励するというメッセージ効果は大きい。投資家の裾野拡大を目指しているわが国においても、英国での投資家拡大策を参考にしてみてはどうだろうか。
|